エスファハーン Esfahan

◆着きましたが…

早朝の5時、シーラーズからのバスはエスファハーン郊外に着いた。乗客が皆降り始め、バス運転手も降りろと言っている。バスが停まったところはただ の道路。漆黒の闇に目を凝らすが建物の一軒すら見あたらない。その代わりにタクシーが縦列で客を待っている。はっきり言ってコワイ。命に別状は無いのだろ うが、こんな時間に外国人一人でタクシーに乗るということは「私はカモでございます」と言っているようなモノだ。加えて、『ナゼにこんな所で客を降ろすの か?』というほんのりとした怒りがバス運転手に向かうものの、タクシーの選択肢を除外すると、乗ってきたバスにターミナルまで走ってもらうしか手がない。
ダメもとで聞いてみるかと、バス床下のトランクからバックパックを取り出し、バスの運転手へ「バスターミナルに行きたい。」旨を伝える。英語が通じないの で少し大変ではあるが、ガイドブックの地図を開いて運転手に見せる。
(エスファハーンには北・東・西の3つのターミナルがあるが、それぞれ行き先方面別に使い分けられている。このバスは本来、北バスターミナル (Terminal-e Kaveh)に到着する予定だった。)
『私はエスファハーンの市街地にいきたいんだ。』とジェスチャーで伝えると、運転手は「なんだ、それならそうと早く言え。」と言わんばかりの笑顔でバスを 走らせてくれる。
20分程 走っただろうか。バスは北バスターミナルの500メートル手前、とはいえ市街地寄りで私に降りるよう促す。
ナゼに バスターミナル内まで走らなかったのは未だ疑問ではあるが、きっと早く仕事を上がりたかったのだろうと無理矢理ではあるが納得することにして。さて、市内 を目指さなくては。

「市街地に行くならここからタクシーを拾っていくといい。大体 2000Rialsだから。」と ドライバーの彼は教えてくれていた。4車線道路が交接し、立体交差まである大通りである。流しのタクシーを拾うのは簡単なのだが、やはり朝の5時30分と いう時間がマズイのか乗り合いタクシーがみあたらない。運転手のみが乗るタクシーを4台ほど捕まえるも「5万Rials」を連呼するばかり。
さっきのバスのイイ感じの“いい加減さ”がちょっとばかり頭に来ている所に、外国人プライスのタクシーで完全にカチンと来た。
頭上に「ぷすぷす。」と擬音を浮かべながら、『歩いてやろうじゃねぇか。』と歩を進めて5分程。背後からファンキーな4人が乗ったオンボロ自動車が寄って きた。
『えっ?これ、乗り合いタクシーかぁ?』と思いつつ、市街地までの料金を聞いてみるが どうにも意思疎通が出来ない。とりあえず2000Rialsの紙幣を見せてみると、「それで良いよ。」とのことなので走っていただくことにする。毎度の後 部座席3人掛けでバックパックを膝の上に置きつつ車に乗り込む。

言葉が通じない状態だが、ジェスチャーでなんとか意思疎通をしつつ周りを眺めていると、やはり乗り合いタクシーだったようだ。楽しい10分があっという間 に過ぎて目的地の交差点についた。2000Rialsを渡して降りようとすると、隣に座っていた乗客が「あ、ちょっと待って。」と言う。『ん?なん じゃ?』と思うまもなく、運転手がオツリに500Rials (約5円) を渡してくれる。思いっきり端数の世界だが、そのもてなしに感動してしまう自分がいた。


タクシーを降りたのは宿の手前1Kmの交差点。宿の真ん前で降りるのを少し危険と考えて、手前にある交差点で降りたが、地図の縮尺に多少の相違があったよ うだ。
歩けない距離ではない。リュックを背負いなおして 朝6時の街を歩き始める。


◆宿探し

エスファハーンのバックパッカー宿として名前を知られる 「アミール・キャビール・ホステル」

ドミが35,000Rials シングルが70,000Rials (約350円と700円)はここまでで最高値だった。ちょっと迷ったが、まずは部屋の内見をさせていただく。…シングルが2畳間のスペースしかない。。の であまりに暴利(?)と考え、他の宿を探すことにする。(この後、まあまあな適正価格だったことを思い知る)

アミール・キャビールを後にしたのは良いが、ここは中心エリアから外れて文字通り「ポツン」とある宿。他の安宿が並ぶエリアまで1.5Km〜2Kmは離れ ている。『戻ることはないだろう。』と心に決めて歩き始めるが、ここまでの旅と比べて、宿の値段の違いに軽くショックを受けていることもあり、カバンが必 要以上に重く感じる。

休憩がてら、途中で目に入る中級ホテルなんぞに立ち寄り物見遊山よろしく内見をさせていただく。何件かの安宿もみていると、エスファハーンの宿はツーリス トプライスが適用されているような雰囲気を感じつつ、大体の相場を把握する。

気がつくと11時を回っていた。
結果、宿泊を決めたのは一泊130,000Rials(約1300円)の高級な(?)安宿、Tousだったのは気持ちを切り替える為だった。ここまでは物 価の安い、言い換えれば極めて気楽に旅が出来るエリアだったのが、これからの旅は物価水準の違う世界に突入する。そのことを予感した自分への壮行会だっ た。

バッグを部屋に置き、昼飯に出掛ける。

近くのレストランで食したケバブサンドイッチ 18,000Rials(約180円)とジュース 2,000Rials(約20円)。宿に比べてやはり安い。宿泊料金が高めに設定されているのが、エスファハーンの痛いところ。


レストランの付近で売っていた「蒸しコーンのバター和え。8000Rials」。


◆エマーム・ホメイニー広場へ行ってみよう。

「エスファハーンは世界の半分」と謳われたその核の部位、エマーム・ホメイニー広場に向かってみる。

ツーリストオフィスで頂いた「イマイチ使えない地図」を元に、ハシュト・ベヘシュト宮殿横の公園を抜け、10分程歩いたところで、エマーム・ホメイニー広 場が現れた。


広い。
とりあえず、広い。
なにはともあれ、広い。

日比谷公園か 北の丸公園よろしく 地元民(またはおのぼりさん)が芝生の上でくつろいでいる。
私はイスラム教徒ではないが この空間が持つ「荘厳」さと「憩い」にココロを打たれてみた。

 
エマーム・ホメイニー広場の北門と、そこに出没する日本語を使う客引きのおじさま。「NHKスペシャル−シルクロード」で紹介されたらしい更紗工房に案内 される。当然、買うように勧められるが どうにも押しが弱い、憎めない客引きがイランらしさなのだろうか。

同じく北門側にある2階席を持つチャイハネ。

エマーム・ホメイニー広場が一望出来る。紅茶ポット(5000Rials)、店の主人は日がな一日 水パイプを吸っているような、ゆるい空気が流れる空間。水パイプは1回 10000Rialsで器具の上部で燃える炭が無くなるまで楽しめるようだ。とりあえず店の主人が吸っていたモノを一口 試させていただいたが、「両切りタバコの炭煙風味」は私には合わなかったようだ。

公園を取り囲む商店達



公園を取り囲む4方の壁には様々な商品が並べられ 売られている。客としてはイラン人おのぼりさんが多数をしめるものの、外国人観光客に合わせて 英語使いの店員さん比率が非常に高い。日本人にターゲットを絞った店もあるが、なべて 信頼できる店が多いような気がした。




公園の内側に向いている商店の裏には通路があり、二重構造で店が構えられていた。
明るい外側から見ることと、暗いアーケードから見ることでは 売られている商品を見る趣が変わってくる。
ペルシャンな雰囲気を持つティーセットやアクセサリーなどは 太陽光に照らされた状態よりも 暗いところでライトアップされてこそ輝きを放つ物なのかも知れない。

◆ メシネタ


宿の近所にあるレストラン。エスファハーンでの食事のメインはケバブなのだが、たまにはピザでも食べてみようと試した24000Rials。


◆ エスファハーン 第2の観光名所

スィー・オ・セ・ポル橋。33(スィー・オ・セ)の柱でこの名前らしい。

橋のたもとににあるチャイハネで茶を飲もうか、それとも止めておこうかと考えていた。気温が低いのである。2〜3分程 橋を眺めていると、通行人の中に グリーンのウインドブレーカーを羽織った日本人が目に入る。
『彼だ!』
パキスタンのラホールから、イラン国境を越えるまで、数日共に旅した「スギさん」との再会を寒風吹きすさぶ橋のたもとのチャイハネで祝したのである。


夜に撮ったスィー・オ・セ・ポル。ライトアップされて とてもキレイ。


◆エスファハーン 第3の観光名所(個人的ランキング)


「ん、またモスク?」と思った方、残念。はずれです。
スィー・オ・セ・ポルを南に下ったエリア(ツーリストエリアから川向こう)にあるヴァーンク教会。

行った日がたまたま お休みだったので内部には入れなかったものの、その外観が示す文化融合具合に脱帽した一コマ。



◆オマケの写真館


ハトじゃありません カラス です。イメージが先行しているのか、道ばたで出会ったイラン人はこの色を「完璧な黒」と表現してましたが、そうすると日本のカラスはどうなるのやら。



小売店で購入した「100%」と銘打ったジュース。日本語で内容物表記があることに 宿に帰って気がつき、文字通り“目玉が落ちそう”になった。が、よくみると「砂糖」が入っているのでは…?
そして、このジュースの日本語名 「濃縮甘酸っぱいさくらんぼジュース」 … 長いなぁ。



夕飯と、朝飯用に買ったケバブ(手前18000Rials)とハンバーガー(右奥14000Rials)、左奥にあるのがタバコの箱。デカイのがおわかり いただけますでしょうか?



何気なくテレビのチャンネルを回していると 突然 映った「キャプテン翼」。



メイド・イン・イラン の靴下 10000Rials。ナイキのマークなのに、留めている紙にはPUMAのロゴ。裏には各種メーカーのロゴが並んでいるという 非常に妙〜な一品。クオリティは悪くない。



イランで用いられている紙幣とコイン。
札には算用数字があるので読みやすいが、コインはペルシャ数字表記。
為替レートは 1US$=9,300Rials。  10000Rials ≒ 100円の計算で過ごしてました。

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