アーグラー(?) Agra(?)

◆カジュラーホーのバス停で。

秘密の多い村 カジュラーホーに疲れてきたところで、次なる予定地 タージマハルはアーグラーに向かうことにする。
バスターミナルにて明日のチケットを予約し、荷物を纏めて旅立ちを待つ。
カジュラーホーからアーグラーへのバスは途中のガヴァリアーで乗り換える為、ココでは カジュラーホー 〜 ガヴァリアー のチケット(175ルピー)を購入。
翌早朝は6時に起床し7時15分にはバス停に着いた。バスが8時なのでちょっと早く着きすぎたようだ。

バス待ちの間、仲良くなったお爺ちゃん(チケットカウンター横で小売りをしている)からチャイを奢っていただいた。実は彼とは昨日も軽く話しをしている。 という のも、チケットカウンターは日中ずっと開いている訳ではなく、夕方のバスが無いときは窓口が閉まってしまう。なので、カウンターに誰も見あたらず途方に暮 れる訳だが、彼が「5時30分頃には開くからまた来なさい」と教えてくれて、それで少し話しをしたのだ。
「人柄の良いかただなぁ。」と思ったこともあり、 明日用のビスケットなんぞを所望してその日は別れた。(※こういう風に思えるインド人が非常に少ないような気がするのは私だ け?)

↑チケットカウンター横が彼の商店。ド真ん中に陳列されているのはナゼか「カーマ  スートラ」だったりするのは、さすがカジュラーホーといったところか。蛇足だが、同バス停では彼以外にも複数の小売りがあり、こいつらはインド式のムカつ く呼び込みを やっている。(※「へろー、まいふれ〜んど」(さらに注:オノレとはフレンドじゃねぇ。)から始まって、「ウチの店はチー プ、チープ!」(さらに注:全然チープじゃ ねぇ。)とかいいつつ、こっちが歩いてる進路をガッチリ妨害してくる)

係員からバスへの搭乗を促されたので、彼にサヨナラを言いバスへ向かう。バス後部に荷物を入れようとすると係員らしき男からバッグチャージとして1個あた り10ルピー請求され、「えっ!?カネ取るのかよ?」とか訝(いぶか)しく思いつつも選択肢は無いので心で「このヤロウ」とか呟きつつ払う。
さて、バスに乗るにもまだ10分以上時間があるので一服でもしようかと考えていると、さっきのお爺ちゃんがこっちを見ているようだ。(オイ、店はイイの か?) まぁ、朝の早い時間だし、バス停自体お客もそんなに居るようではないし、軽く話でもするかと近づいてみると、「バッグチャージは5ルピーだったか?」と聞 いてくる。『なるほどやはりヤツは倍額を請求したか、にしてもココはホントにバッグチャージがあったんだ。』と思うも、もうこっちはさすがに慣れっこなの で「あちゃーやっぱり半額だったのかぁ。ま、イイっすよ いつもの事なんで。」と気楽に返答したその後の爺ちゃん、かっこよかった。
勢い係員(とは言っても人足に近い)の方へ歩き出す。私が「いや!いいっすよ!」つって制止するも止まらず。私から5メートル先で係員に文句を言ってい る。…あ、戻ってきた。んで、「あとで返してもらえるから受け取りなさい」って、爺ちゃんカコイイよ。
さて、係員から過請求分を返してもらったのはよいとして、返ってきた札がどうにも見たことのない札。5秒ほど眺めていると「こいつは旧札だ」と爺ちゃんの 指摘。加えて「ちょっと待ってな。」と言って店に戻り、現行の札を持ってきて取り替えて くれる。(※インドでは草臥れた札や旧札はババヌキな扱いになっている)  …こんなに良いインドの人、初めて会った。。。。

タバコを吸う方らしいので一本勧めてお礼とした。写真は私がバスに乗り込むホント直前。このあと彼は手を振るでもないが、立ったままバスを見送ってくれ た。。。

走るバスの中でチケットを眺め、『そういや、このチケットも爺ちゃんやってくれたなぁ…』とか心持ち感傷に浸ってみる私。

というのは、昨日 カウンターでもらった紙は“予約券”のようなものらしく、当日の乗車前に“乗車券”に変更する必要があったようなのだ。文章の歯切れが悪いのは、今朝方 爺ちゃんが「チケットはちゃんとあるか?」と聞いたので“予約券”を見せると、彼はそのままチケットを持ってカウンターへ行き“乗車券”に取り替えてくれ たからである。また、行き先名「ガヴァリアー」がヒンディー語で書かれていて、私が読めないリアクションを軽くしていると、アルファベットスペルを教えて くれたのだ。

人口11億人の国、インド。そこで出会いやすいインド人の大半は、向こうから声を掛けてくる客引きや正体不明な商売をしている輩。その数があまりに多すぎ て疲れてしまう国、インド。
そんな中で、ごく少数の心温まる出会い。。。いいかもしれない。(※ んな、わきゃない)


◆バスは走るよ。

ほぼ8時ちょうどに走り出したバスは、1時間も経たない間に大きめな町のバス停に到着。インドやネパールのバスでは昼食の時間が非常に怪しい(運 転手の腹具合に依る(?)。またはブランチと夕食で1日2食だったりする)。どちらにせよ運転手がエンジンを止めたらば、それは長時間停 まるとの意思表示に他ならない。で、運転手に何分停まるのと聞いたらば、30分停まると言う。つまるところ『なるへそ、なんか食っとこう』である。

んで、食したアルヴェンダ(丸形、5ルピー)とサモサ(三角形、3ルピー)、ちなみにお皿は葉っぱ。食後にノラ牛に葉っぱ皿をあげたのだが、内側の油を少 しなめた牛は「イラネ。」という顔で去っていった。

さて、バスは走り、3時間後の12時30分。またバスは大きめな町で停車した。運転手が20分程停まると言うので下車してみると町が結構デカイ。地元民に ココが何処か訪ねると「ジャンシー(Jhansi)」という。地図を見てみると、カジュラーホーとアーグラーのちょうど中間ではないか。『4時間で半分だ な』と、下手な皮算用をするも、ホントに下手な皮算用であったと後で後悔する事をこの時の私はまだ知らない。

9時に食ったサモサでは、腹持ちが良くない。目の前にあった「ド」ローカルなレストランのターリー(15ルピー)を超特急で食し、バスに舞い戻る。

(独り言:バスが発車して1時間ほどした所のバス停で、トイレに絡むカチンと来ることがあったが、、そのうち追記しよう…)

さらにバスは走り、3時間と30分後の午後4時30分。やっと終点のガヴァリアーに到着した。

カジュラーホー 〜 ジャンシーを4時間で走破したのに比べ、その半分の距離のジャンシー 〜 ガヴァリアー でほぼ同じ時間が掛かっている。むむっ。なにげにイヤな予感がする…。各種ガイドブックに「カジュラーホーからアーグラーに行く場合はジャンシーで電車に 乗り換えるよろし。」と案内されているのはこういう事か、と思うも時既に遅し。とりあえず目の前のバスがアーグラーに行くというのでチャッチャと乗り換え る。

全行程の最後の4分の1、ガヴァリアー 〜 アーグラー のローカルバス(67ルピー)は出発してからしばらくは調子よく高速道路を走り、『おお!ローカルバスを選択した私は正しかった!』と束の間の自己満足を もたらしてくれる。

んが、1時間後、例によってバス停(今度は田舎、上の写真3枚目)に停まったあとがマズかった。
なんだか理解不能な田舎道を走り始め、ローカルバスは一転、「ジャンピングバス」と化したのである。

何処を走っているのか地図を見ても皆目見当は付かず、風景がしょっぱいグランドキャニオン風になったところで日没と相成った。


◆そしてアーグラー、思えば短い滞在だった。

ジャンピングで田舎道を走破すること2時間あまり、そろそろオシリも限界ですよ。と泣きが入りそうなところでレフリーストップよろしくバスが停車する。続 けざま乗客がゾロゾロ降り始めた。どうやらアーグラーに着いたようだ。時計を見ると午後7時45分、今日はほぼ12時間バスに乗っていた計算になる。

さて、アーグラーといえばタージマハル。宿から見る夜景がとってもイイらしい。なので、他の旅行者の薦めもあった宿までオートリクシャーをかっ飛ばしてい ただく。(到着したエドガーバススタンドからタージマハル付近へは40ルピーぐらい。たぶんもう少し値切れたかも。)

さて、タージマハルエリアに着いたが、探せども探せども空き部屋がない。おいおい、どうすんだ。寝袋ねぇぞ。
6軒目でやっと空きを見つけたホテル ○ha○ja○an(一応、伏せ字)に投宿するも、たまたま部屋が悪かったのか、トイレのタンクは倒れてるわ、窓は立て付けが悪いのか閉まらなくて寒い し、掛布には直径10cmの穴が複数開いてるし、つーか、蛇口をひねれどホットシャワーが出る気配ないし。といったツッコミどころが10ヶ以上で満載。(受 付(オーナー(?))のお爺ちゃんが尋常じゃないハイテンションで、これはかなり私のツボだっただけに残念!) バスで体が疲れているところに精神的な疲れも加わり、さすがに寝間着に着替える気も起きなくて、そのままのジーパンとブルゾンでベッドに横になり、泥のよ うに眠り込んだのである。

明けて翌朝は6時に目が覚めた。「とりあえずタージマハルがみられればいいな」と屋上に上がってみるがこちらも「残念!」。ちょうどそのとき同じく屋上に 居た早起きなコリアン君と雑談すると、どうやらこの宿は「この辺りで一番安い宿」らしい。なるほど、それならそうと早く言ってくれ。ならば設備の悪さも分 からんでもない。

さて、太陽が昇ってきた。タージマハルは日の出と共に入場可となる。入場料750ルピーってのは以前からあっちこっちで聞いているので『めちゃめちゃ高い なぁ』と思いつつも、正面玄関まで歩を進めてみる。んで、玄関横で見たプライスボードが私の脳を沸騰させた。


 − インド人        20ルピー (入場料 10ルピー、考古学局収入 10ルピー)
 − インド人以外 750ルピー (入場料 250ルピー、考古学局収入 500ルピー)

『はぁ?』である。
「インド人以外」って、ねぇ?…  GNIがインドと大して変わらない国もあるだろうに※1。 それに、入場料と考古学局収入の比率の違いは何なのさ。植民地時代の絡みがあるならUKだけ取り扱いを変えればいいじゃん※ 2。んがっぐっぐ※3(※ 1、旅行が出来るってことだけでも裕福だとは言える。そうすると富裕層が貧困層にお金を恵むといった側面を持つカーストの仕組みが公官庁の運営思想にまで 及んでいる可能性がある。  ※2、カンペキに私の憶測・邪推です。 ※3、ホントはもっと書こうかと思ったが暴言になりそうなのでやめた。)
ま、なんにせよ、あれだ、ここにきて地元民の37.5倍の料金を払えと言われて軽くむかついているのだ、私は。と同時に、仮に自分がタージマハルに興味津 々で来 たのであれば「ポン。」と払っておしまいである。事実、アンコール遺跡では「ポン。」と払ったではないか。ここで750ルピーなんぞにこだわっている私は タージマハルに入場する資格がないのだ。と考えることにした。(つい今さっき。)


さて、気をとりなおして宿を探さなくては。さすがに昨夜の宿を2連泊はちょっと辛い。んで、昨日は満室だと言われたが以前しりあった旅行者一押しの宿で空 きを聞いたところ「空きあるよ、でも掃除中だから少し待ってね」との事。「んじゃ、朝飯食ってからまた来る」と言うと、「屋上がレストランだから食って け。」だそうだ。んで、そこから眺めるタージマハル。

いろんな意味でお腹いっぱいです。
さて、食後に部屋を見せていただくが、どうしても細かい所が気になる。窓の割れているところが修繕されていなかったり、ホットシャワーがバケツ供給だっ たり(※もはやシャワーではない)。他の町ではその程度のことは気にしないのだが、『無理 してこの辺に泊まっても意味無いかも。。』と、どこかで気がついていたのかも知れない。

んで、ガイド本を調べ直そうと思い、荷物を置いたままの宿へ戻った。入り口のドアの横にレセプションがあるのだが、何気なく「チェックアウトタイムは何 時?」と聞いてしまったことでさらに私の脳は沸騰する。
「チェックアウトは10時だよ」。
「ハァ?(※ 一般的には12時が多い、11時ってのですらマレ)
…よりによって10時である。時計を見ると9時45分。私がこの宿か ら嫌われているのか、ホントに10時なのかは知ったこっちゃないが、私としては『う〜ん。なんだかこの町とは相性が悪いなぁ』以外の何でもない。チャッ チャカ荷物を纏めて、近所にある「世界一、ラッシーがうまい店」で実際うまいラッシーをいただきつつ作戦会議を催す。

残すところ、アーグラーで見たいところといえば「アーグラー城」、『そっちの界隈に移動しようかな。でも、アーグラー城付近って宿があんまり無いんだよ な。』と思いつつガイド本をパラパラめくっていると、昨夜 到着したバス停(イドガー・バススタンド)のすぐ横に日本人が多く泊まるらしい宿が紹介されている。うん。イイかも。とオートリクシャーでバススタンドへ 向けて走っていただく。(リクシャーに宿を指定して走らせると宿からのコミッション絡みな話が出てきて宿代の値下げが難しくなるケースがあ る。もちろんそうじゃないケースも多い)

例によって、運転手はオートリクシャーを走らせながら、常に「バスチケットは買っているのか?※1」 とか「○○ホテルは良いホテルだ泊まらないのか?※2」とか言ってくる。(※ 1、チケット代まで喋っていたが、後で分かった料金よりもかなり高いことを言っていた。 ※2、コミッション狙いか?さもなければ私と同じくタージマハル エリア脱出組が居たのか?)なんにせよ、行き先にバス停を指定したのは正解の様だ。と思いつつ車窓を眺め、○○ホテル(ホ ントの目的地)を通り過ぎて30秒でバス停に着いた。まずはまだ様子を伺っているオートリクシャーを撒くためにバス停内に入り、ついで に、デリーまでのバスを聞いてみる。値段は114ルピー、乗車時間は5時間。本数もかなり走っているようだ。

さて、情報を仕入れたところで○○ホテルまでちょっと歩き、部屋を見させていただく。ふむ。気持ち値は張るが非常にナイスでビューティホーな部屋である。 よっぽど泊まろうかとも思ったが、ふと、宿の周りを考えてみるとレストラン等が無かったような気がした。そうだ、バス停と相当しょっぱい小売り店以外 何もないのだ。。


自分に問いかけてみた。
「アーグラー城、ホントに行きたいの?」と。


宿の主人と1階に居た日本人客に礼を言ったあと、バススタンドに向かう足はとても軽かった。重い荷物を背負ってはいるが、正に今から旅を始めようとしてい るかの如く。ローカルバスに乗り込み荷物で座席を確保。バスの横にある売店で水とビスケットを買い求め、シートの上にあぐらをかく。12時ちょうど、ビス ケットを半分ほど食べたところでバスはデリーに向けて出発した。



◆心機一転してもやっぱりここはインド。

ローカルバスなので料金はバス内で払う。額は115ルピー。事前に聞いた額とは1ルピー違ったが、まぁ、誤差と理解しよう。乗車率も80%程度と、非常に リラックスして座れる。道の状態も極めて良く、高速道路をかっ飛ばすバスは非常に頼もしい。(写真左)さすが高速道路、料金所らしきものがある。

途中、サービスエリアっぽい所でトイレ休憩があったのだが、ここでもインドの洗礼を受けることになる。

心の友インド人と共にそこいら辺で立ちで用を済ませた後、チャイでも飲もうかと注文する。
※以下への注:為替、1ルピー ≒ 3円。

わたし「チャイいくら?」
チャイ屋「5ルピー」
わたし「んじゃ、おくれ」

しばし待つ。『そういやデリーに着いたらリクシャー使うかもな。小銭が欲しいな。』と思い、50ルピー札を用意する。
チャイが出てきたので、50ルピーを渡す。戻ってきたオツリを勘定すると44ルピー。何かがおかしい。

わたし「1ルピー足らへんで。」
チャイ屋:なんだか困った顔。
わたし「見てみいや、1ルピー足らへんやろが。」
          やはりインド、野次馬がジャンジャカ寄ってくる。
野次馬1「どうした?どうした?」
わたし「チャイのオツリが1ルピー足りへんねや。」
チャイ屋「そいつはスペシャルティーだ、だから6ルピーだ。」
わたし「そんなもん注文してへんわ、わしゃ5ルピーやいうから注文したやろ。」
野次馬達(ワイワイ、ガヤガヤ)
         んで、そのとき、野次馬の1人が同じチャイを手に持っていたので聞いてみる。
わたし「おっちゃん、そのチャイいくらで買うた?」
野次馬2(英語がわからないようだ)
野次馬達(ワイワイ、ガヤガヤ)
チャイ屋「チャイは5ルピーだ! 1ルピーはTDP(?)だ!」 ※ 忘れた、なんかアルファベット3つだったと思う。

『ぷちっ』 ←何かが切れた。

わたし「なんじゃいそのTDP(?)つーのは?!お前、今、スペシャルティー言うたやろが!」←チャイ屋へ
わたし「どなたかTDP(?)って何かしってますか?!」←野次馬へ
野次馬3「(なにやらヒンディー語で店のオヤジに怒っているようだ)」
わたし「だいたいお前、俺が5ルピー硬貨渡したらこんなセコイことせんやろが!」
オヤジ「(なにやら憤懣やるかたない顔でぶつぶつ言っている)」
わたし「もうええ、いらん。チャイいらんから6ルピー返しいや。」

結局、見事に小銭に崩しきったのである。(えっ?そういう話じゃない?)
カルシウム不足かなぁ…


◆デリー到着。

アーグラーからのバスは4時15分にデリーの市境についたらしい。いや、時間は間違いないのだが、場所がよく分からない。ココは何処?って聞いてもみんな 「ボーダー、ボーダー」言ってたから。

歩いて5分の所にバス乗り場があり、ニューデリー駅には460番バスで向かうようだ。料金は10ルピー。掛かる時間は1時間ちょっと。4時30分に路線バ スは市境を出発し、夕焼けの空へと進路を取ったのである。






◆オマケの写真館

インドらしいゴミ。地面に落ちているのはお皿です。葉っぱ製の。自然に還る… のか?アスファルトの上で?


道路沿いによく見る風景。燃料作成中。
 

この丸形の山、全部、ウシのフン。
屋台とか行商で売ってるピーナッツはこれで加熱しているようである。(多分…)

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