クチトンネル Cu Chi Tunnel



◆ホントはカオダイ教の本山に行きたかった。

さて、例の旅行代理店のツアーリストに「クチトンネルとカオダイ教総本山」なるタイトルが出ている。

カオダイ教…。。。どっかで聞いたこと有るなぁ。が最初のインプレッション。
ホーチミンシティに到着したとき、代理店内にバックパックを預けた訳だが、ちゃんと仕事をしているらしく、カベにツアー気分を盛り上げる写真が貼ってあ る。そこで見かけたカオダイ教本山の写真を見たその瞬間!私の脳内に稲妻が走った!!!!


んっ!!!こいつは!!!!  限りなく怪しい!!っていうか妖しい!!!!!!何じゃこりゃ〜!!



小学校の頃だったか、たまに学研の「ムー」とかながめてた様な記憶が。あと、中学校の頃に流行ったTVアニメ「不思議の海のナディア」の敵役のロゴマーク にカブるような。。

気づいていなかったが、このとき私の無意識領域ではメコンデルタよりもカオダイ教総本山が − 行ってみたい場所No1 − に輝いていた。

とはいえ何も知らずに行ったらば、信者の方に失礼になるかも?とか考え、後ほどイソターネットでググってみる事にする。んで、ウィキペディアに 詳細を見つけて「予習も完璧!?」にしたのである。(※ウィキペディア:インターネット上で有志による編纂がされている百科 事典。今回の場合、グーグル http://www.google.com で「wiki カオダイ」とか検索するとサクッと表示される。)

さて、予習が終わったところで歩みも軽やかに代理店に行き、「明日のツアーよろしく〜」なんてすっごい上機嫌で申し込み、代金5US$もフトコロ痛くな し。とばかりに払い込んだ。その夜、「遠足前で眠れない小学生」よろしくワクワクしながら床についた私はなんて純情なんだろう。


◆明けて翌朝、「はなしが違う!」

朝8時15分の集合時間の30分前にはツアー会社に到着。
ワクワクテカテカな雰囲気な私へにこやかな笑顔で近づいてくる[チョビ髭withグラサンでイケてる(?)風な]兄さんが私に悲運を知らせる使者だった。

チョビ髭「えーっと、カオダイ教の寺院は今は行けない。」
被害者「……ハァ??
チョビ髭「そこへ向かう道(地域?)が○○○(なんだか解らない)で汚染されてて通れない。」
被害者「ハァ?」
チョビ髭「返金は出来る。クチトンネルだけの半日コース(差額返金)もある。どするね?」
被害者「ハァ」

10分ほどヒアリングを続けるが「政府から立ち入り禁止に指定されてる」ので行けないの一点張り。「ほなら、なんでチケットお売りにならはったんどす か?」の質問には「さっき情報が入った」と答えてくる。あいや、しかし、ちょっとまて、今し方うぬは「3日前のツアーから行けてないんだ」って言ったよ な?……
と、いった感じの胡散臭いポイントが話の中に複数目立つも、チョビ髭氏の自信たっぷりな態度(でもちょっと不安そう)と愛嬌のある顔が、私の疑心を緩和す る。ましてや、私には時間 がないのだ (ベトナムのビザ免除14日で縦断する日程の割り振りから、ホーチミンシティの延泊は難しかった)。

最終的に、これはどっかの神様の「あなたがカオダイ教を見に行くのは100年早い」という示唆かもしれない。と理解することにして、クチトンネルの半日 コースに参加したのである。


◆さてツアーですが。

例によってしょっぱな連れて行かれたのはお土産モノ屋さん。製造工場と直販所だったのでお店だけに連れ込まれるよりはずっとイイ。


バスは2時間ほど走って、クチトンネルに到着。入場料65,000ベトナムドンを払って左を見ると、おや?薄い冊子が大量にある。英語はもとより・スペイ ン語・韓国語・中国語・日本語等々、結構あっちこっちから観光客が来てるんだなぁ。


で、一番最初に通されるのがクチトンネルのざっくりとした講習場ですな。尋常じゃなくエネルギッシュなおじさまが、地図・ジオラマ・銃器・槍などを使いつ つ解説を行っている。頼むから銃を振り回しつつ唾を飛ばすのやめてくれ。
客の中に日本人(俺じゃない)が居ることを認めると彼は「日本人はえらい!ベトコンの戦法は日本の特攻隊を元に勉強したのだ!」と捲し立て始めた。おお、 彼はリアクションに困っちょる。

さて一方、ウチのガイドはそんな楽しい説明会をチャッチャカ切り上げて、「中にはいるから付いておいで」と諸手を挙げて手招きしている。他のグループにま だまだ力一杯説明しているおじさまに後ろ髪ひかれつつ、説明会場を後にしたのである。


んで、ホーチミンシティから同伴のウチのガイド(チョビ髭)はなにやらベトコンの戦い方の説明を始めた。つーかお主がガイドをする予定だとは知らなかった よ。にしても、説明するのが楽しそうだなぁ。さっきの説明会おやじにしても「ベトコンはベトナム人の誇り」になっているのがよく分かる。米国内世論やら米 軍内指揮系統不全やらい ろんな理由から米軍の撤退があったわけだが、彼らからすると「ベトコンが米軍を倒した!!」ぐらいなプライドを持っているようである。(勿論、そういう面 も色濃いが。)ちなみに上の写真は小さな塹壕で、敵が通り過ぎてから背後を盗る運用らしい。

そしてこいつ↓は回転式の落とし穴。う〜ん、リアルに槍が出てるなぁ。


↓地下トンネルの出入り口、あちらこちらにつながっているらしい。


人形で当時の状況を再現しているが、ガイドの兄ちゃんがコミカルにギャグを飛ばしている為、緊張感を持つ旅行者(自分を含めて)は全く居ない。なんかイ メージと違う。。。


さて、M41戦車の残骸が残っているわけだが、ここで2人の外人が食いついた。なにやら「どうやって動きを止めたのか?」やら「戦車対ゲリラの戦法はいか に?」みたいなマニアックな質問をしてるようだ。フムフムやはりここはそういう質問がよく似合う場所なのだ。つーか、横でちょい聞きしてるわたしにはヒ ジョーにムズカシーい会話でした。


↓落とし穴系のトラップ各種。むむっ、昔ハマったゲーム「カゲロウ」がどーしても脳裏をよぎる…。



↓こちらは敵の不発弾から火薬を抜いて自軍の武器としてリサイクルしている状況を展示している。なるへそ、勉強になるなあ。(なんの?>自問)


途中の小休止ポイントに設けられている射撃場。AK47とM16をお安く撃てるらしく、先ほどのマニアを含めて皆さん大いに撃ちまくってらっしゃいまし た。

わたしゃ既に耳がキンキン言っているので、無理せず女性陣と共にアイスクリームなんぞ頂きつつ横で観戦。ガイド氏もヒマなのかこっちに寄ってきて雑談に花 を咲かせる。
話をしてみるとガイド氏もなかなか良い人柄で「今日のカオダイ中止はごめんね」なんて、もはやこっちが忘れていることを謝ってくれる。話の流れで今日のカ オダイの参加予定者は3人だったことが判明。むむっ。催行コスト割れか?な疑問が渦巻くが、他の2人に追求する気配がないのでとりあえず聞かなかったこと にする。

↓廃タイヤから作ったらしい草履。ベトコンは皆さんこれを履いていたんだとか。

(ここでガイド氏のネタが炸裂。異常に大きいサンダルを携帯電話に見立て、顔の横に持って行き「ベトコンはこうやって通信していたのです!」と、言った瞬 間、外人客がヤバイぐらいに大爆笑!  …  わからん… 俺にはわからん…。 この文化のミゾはどうやって埋めればいいのだ?!)


そして本題のトンネル通過。写真ではフラッシュを焚いているので見やすいですが、ホントに真っ暗で肉眼ではほぼ何も見えない。みなさん服が土まみれ。1分 程度歩いただけでヘトヘトでした。ベトコン恐るべし。


こちらは調理場の展示で、炉からの煙は地下を通して別の所から排出していたそうです。なるへそ。


その煙の噴出口の横にある休憩所でお茶とクッキーなんぞを頂きつつ、しばし歓談してクチトンネルのツアーは終了いたしました。

↑出口付近にあるクレーター。爆撃で土が吹っ飛んだらしい。写真では分かりづらいけど、直径15m〜20mはあったかなぁ。


◆後日談

ゲストハウスやらメシ屋で知り合った方々に聞いた話は以下の通り。

証言A「カオダイでしょ?昨日(違うツァー会社で)行ったけど…」
証言B「俺、今日(違うツァー会社で)行ったよ。」
証言C「カオダイ教の本山かぁ、結構距離あるからなぁ。参加人数によるんじゃない?」
証言D「そうだよね。たしか100KMぐらい離れてるもんね。」
証言E,F,G「えっ?環境汚染ですか?… 聞いてないですねぇ。」

ちなみに証言者E,F,Gは地元民で「別のツァー会社勤務」・「ゲストハウス経営」・「ゲストハウスに遊びに来ていた自称地元校教師」の3名です。

少人数での催行取りやめならそう言えよ…。




◆おまけの写真館

クチトンネルのツアーが終わり、車に揺られつつ2時間ほど爆睡したあとホーチミンに到着。
なにやら大雨に降られていた市街。

写真では小康状態ですが、直前まで文字通りバケツをひっくり返した水が落ちてきてました。


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